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それでも前を

7月に入ってから、コロナの感染者が爆発的に増え、我々の仕事にも大きな影響が出ています。2020年の3月、4月に経験した悪夢が再び舞い戻った感じです。


コロナに振り回されるようになってからもう2年半。感染者の増加に比例して、絵に描いたようにご予約のキャンセルが増えるのは予測できましたが、今回の第7波はちょっと様子が違います。


今までは「外食を控える」という意味のキャンセルでしたが、今回は「感染した」「濃厚接触者になった」「発熱した」という理由がほとんど。ここまで身近にヒタヒタと近づいてきているのか、と怖くなってきます。


実際にコロナに対峙していらっしゃる医療従事者のお客様からお話を伺うと、それはそれは大変な、想像をはるかに超える激務と心労で、ただただ「皆のためにありがとうございます」と頭を下げ、その使命感に感謝することしかできません。



その気概に感動し「自分たちもしっかりしなくちゃ」と心に誓って、夜、仕事を終えての帰り道。2年以上に及ぶ行動制限でタガが外れてしまったのか、路上で大騒ぎをしている、お酒がたっぷり入ったグループや、入り口の扉を開け放した飲食店で店内一丸となってドンチャン騒ぎをしている人々を見ると、「ちょっとちょっと、もっと自制しませんか? 自分の愉しみをすべて捨てて、頑張っている人がいるんだから!」と心の中で憤慨しながらも、息を止めてその場を通過することしかできない自分が情けなくなります。


一方、厚労省のTVCMなどで「会話をせず、きちんと距離を取れていれば、屋外でのマスクは必要ありません」と言われるようになりましたが、朝の通勤の際、歩く人を見るとほとんどがマスクをつけています。日本人の真面目さに改めて感心したりもします。


「ウィズコロナ」。コロナ禍にあってもきちんと経済活動をしなければいけないという意味は十分理解できます。でも、感染者の急増で店の営業自体が打撃を受けているところに、値上げや欠品、終売にもますます拍車がかかるばかり。直近の電気代の高さときたら、心臓が飛び出るかと思いました。


コロナ感染によって、業者さんの納品作業にも支障が出ているのが現実です。お客様からも「楽しみにしていたお芝居が中止になった」「職場で感染者が出すぎて、業務が全然回っていない」など、さまざまな話を聞きます。


「こんな八方ふさがりの状態で、いったい何をどう『ウィズ』すればいいんだろう? 真面目に生活している人がたくさん罹患して、息してるだけで感染する感じ。めちゃくちゃ不安じゃない?」と、何かにつけてマイナスに考えてしまう私に、「大丈夫ですよ。コロナごときには負けませんよ」と、相変わらずのシェフ金子。


いったいどうやったら、そんなに根拠のない自信が生まれてくるのか?「あんたはお金の心配したことないから、私の苦労がわからないのさ!」と心の中で叫ぶ私。しかし、ここまできたら、今回ばかりは楽観的なシェフ金子を見習い、ひたすら前を向くしかないのかもしれません。

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