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マスク生活記

マスクをつける生活が当たり前になってもう3年。


2020年4月に緊急事態宣言が発令され、世の中が一変したあの時、サンルスーも休業を余儀なくされました。そして、それまで考えたこともなかったテイクアウト営業を始め、店が休みの日には合羽橋にテイクアウト用の容器を買いに行くのがお決まりでした。



車で合羽橋に着いて車を降りようとしたら、マスクを忘れてきたことに気づいた私。すると「俺、いくつもあるから1つ貸してやるよ」と親切なシェフ金子。片付けずに身の周りに溜め込んでおくクセも、役に立つ時があるものです。


とはいえ、一見して「…これ、使ったやつでしょ?」


単に使用済みのマスクを捨てなかっただけなので、借りるのが嫌でたまりません。しかし、当時は深刻なマスク不足で、本当にどこにも売っていなかったので渋々借り、もちろん裏返しにして着用。「うわっ!オヤジ臭い!」と思わず言うと、「何だよ!俺の持ってる中で最上級のを貸してやったのに!」と怒っていました。


最初の頃はこんな調子でしたが、最近ではマスクを忘れるなんてことはまずなく、慣れってすごいなと感じます。今となってはマスクをしていないと、下着のパンツをはいていくのを忘れちゃったみたいな感覚です。


秋になると、自宅から店までの20分の道のりに、金木犀の香りがする庭のあるお宅がいくつかあって、この香りが大好きな私は自分なりに決めてある金木犀スポットを通って通勤するのをとても楽しみにしていました。ある時「今年は金木犀が匂わないな」と感じて、よく考えてみたら、マスクをしていたせいだと気づきました。


街中でどなたかに挨拶をされても、マスクで顔が隠れていて、誰なのかわかりません。とりあえず挨拶を返すと、挨拶されたのは私ではなく後ろを歩いていた人だったりして、赤っ恥をかいたこともありました。

最初は慣れずに嫌でたまらなかったマスク生活ですが、案外便利なこともあると気づきました。


新顔メニューや珍しい食材を使った時などに、厨房から味見のリクエストがあり、ひと口試食することがありますが、マスクをしていれば何かと安心。喉の調子が悪い時、小さな飴で喉を潤すこともできるし、前の晩や営業前のまかないでニンニクを使った料理を食べても大丈夫なことを知りました。


接客業ではふとしたことで一瞬心がモヤモヤすることもないわけではないのですが、マスクのおかげで表情に表れにくくなり(感情は目よりむしろ口元に表れますから)、それも助かりました。


そんなわけで、3年におよぶマスク生活もついに明け、3月13日から着用は自己判断になるようですが、さてどうしたものか。これからのいい季節、マスクなしですっきり過ごしたい思いもあります。でもまずは人様の様子を見て社会の大勢に従うことにいたします。何事も目立たずに生きていくことをモットーとしているものですから…。

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