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冬のソロキャンプ

シェフ金子とスーシェフ香田にとって、年末の大仕事を乗り越えられたのは「年が明けて落ち着いたらキャンプに行く!」という目標を持っていたからのようです。


スーシェフ香田に言わせると、「キャンプはやっぱり冬ですよ!」どう考えてもこう言って欲しそうな空気だったので「冬のキャンプのどこがいいの?」と一応聞いてみました。


「それはですね、まず、焚き火が気持ちいい! 次に寒いから汁物が格別においしい! そして冬だから空いてるんです!」香田が待ってましたとばかりに答えます。


「あ、そう」。私にはよくわからず、自動的に誠に味気ない返事になってしまいました。



そう言いながらもスーシェフ香田、大切な家族が一人増え、休日は愛娘のお世話という重大な任務があるので、現在キャンプはお休み中です。それなのに、シェフ金子と競うようにキャンプ道具を買い込んでは、戦利品を見せ合ってお互いに褒め称え合っています。私にはますますよくわかりません。


というわけで、シェフ金子、つい先日久々のソロキャンプに行ってきました。日頃、自称低血圧の夜型人間で、朝なかなかスパッと起きることができないのに、キャンプ当日はいつも早起きの私よりかなり前に起き出していたようで、もうちゃんと朝風呂を済ませていたのにもびっくりしました。


毎朝の起床時の決まり文句「いててて……」もこの日はなく、「なんだ、今日はどこも痛くないんだ?」とたっぷりの嫌味を言ってやったら「いや、そうなんだよ、ありがとう!」全然喜んであげてないのに嬉しさのあまり全く気づきません。いつも重そうに牛みたいに歩くのに、生き生きとまるで子鹿のように軽やかに出かけて行きました。


はっきり言って私、どう考えてもキャンプに理解がありません。趣味を持つのはとても良いことですが、ヒトに迷惑をかけてはいけません。

去年の夏、大々的に自宅の大掃除をした際、「金子のキャンプ道具置き場」を設けたのに、次々と増えてそんな一角では到底足りなくなりました。「えーっ? マジですか?」みたいなところにキャンプ道具が収まっていて、きれい好き(!)な私、耐えられません。


そういえば初体験のキャンプから帰った夜のこと、「燻った匂い」のする服を自分で洗濯しようと、洗濯機の前にじっと立つこと20分。何をしているのかと見に行ったら、洗濯機の使い方がわからず、でも怖くて聞くこともできず……。

私の仕事をまた一つ増やしてくれました。


毎年、年初めに「今年の目標」をお互い発表するのですが、シェフ金子の目標ときたら、誇らしげに「月に一回は必ずキャンプに行く!」

私からするとあまりにも低すぎる内容に、全身から力が抜けました。


2月はシェフ金子とスーシェフ香田、一緒にキャンプに行く計画のようですが、コロナの感染状況がまた深刻になり、ちょっと雲行きが怪しくなってきました。



「ねえ、また聞くけど、キャンプの何がそんなにいいの?」

「誰にも邪魔されない自分だけの時間と空間! もうたまらないんだよ!」

もしかして、ひょっとして、その「誰」って、私のことなのでしょうか?

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