昨年11月に引越しをしたスーシェフ香田、新居は歩いて2秒でもう埼玉県なのだそうで、8km強の道のりを毎日自転車で通勤しています。
冬だというのに、朝出勤後の香田のTシャツの背中は汗でびっしょりです。でもこれが朝のちょうどいい運動なんだそう。シェフ金子「俺だったら足がつるな」。私だったら倒れます。
別に転んでるわけではないけれど、転んでもただでは起きないのがスーシェフ香田です。引越し早々、ワクワクするような農家さんや野菜販売所を見つけてきました。
家からちょっと足をのばすと、野菜の無人販売所がいたるところにあるそうで、サンルスー屋上ガーデンが農閑期に突入し、軽井沢で野菜の仕入れができない冬のサンルスーにとっても吉報となりました。
軽井沢周辺で仕入れる野菜に比べて、この練馬野菜はイタリア産の野菜に強く、扱ったことのないものがたくさんあって、その珍しさとおいしさに心底感動します。
我々も小さな屋上ガーデンでささやかに農作物を作るようになってから、自然相手の作業の大変さと素晴らしさ、尊さがわかるようになりました(とか偉そうなことを言って、実は私、ガーデンのお世話をしたことがありません)。この大変な重労働に高い志を持って従事し、野菜を作ってくださる農家さんに、ひたすら感謝するばかりです。
さて、休み明けのスーシェフ香田、ものすごい量の野菜を背負って出勤してきます。たくさん背負いすぎて、横断歩道でブロッコリーを派手に落として周囲の人々の注目の的となり、それはそれは恥ずかしかったとのこと。
それに懲りて、野菜を背負うためにとてつもなく大きな登山用のリュックを入手。その姿はまるで、私が子供の頃にテレビドラマ(おそらく『細うで繁盛記』)で観た、ねんねこで赤ん坊をおんぶしているかのように装って実はその中はどっさりの野菜だったという、戦後の闇市の光景にそっくりです。
闇市さながらに苦労して(?)手に入れた練馬野菜、ただいまサンルスーではちょっとしたブームになっています。あまりにもおいしいネギを、凝り性の香田が満を持してネギの形で作ったネギ入りのパン。これを気に入られたお客様が「豚足のパン、おかわり!」
私はこの豚足形が気に入ったのですが、傷心の香田によって、ネギパンは次の日から、エピ(麦の穂)に形を変えてしまいました。
現在、サンルスーのお料理の中には、練馬野菜がさまざまな形で登場しています。里芋のローストなんて、皮ごと食べたらやみつきになるおいしさです。
シェフ金子に「練馬野菜、どう?」と聞いてみたら「うまいね」……相変わらずの言葉足らずに苛立つ私の雰囲気を察知したのか「へへ、灯台もと暗しってこのことなんだな」。そんなにぼんやり呑気に生きてきて、よく60年以上、この荒波のような世間を渡って来られたものです。
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