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15時オープンのお手本は

最初の緊急事態宣言後の2020年6月から、サンルスーは営業の形を変えました。


世界中の人が何らかの形で影響を受けたのと同様、コロナ禍で我々の仕事も一変してしまいました。一つだけはっきりわかったことは、「売り上げが確実に落ちる」という、商売人にとって衝撃的な事態です。


でも、自分たちがどうもがいてもあがいても、今までと同じようにはいかないのなら、「ここまできたらもう、心に余裕を持って毎日楽しく仕事がしたい」と思うようになりました。


それまで、お客様から「素敵な仕事ですね」「いつも楽しそうですね」とおっしゃっていただいたりしていましたが、正直舞台裏は大変で、いつも心の中で「まさか!冗談でしょ?」と叫ぶような日々でした。でも、お客様からそう思っていただけているのが救いでもありました。心優しいお客様に感謝するばかりです。


そもそも、我々はサンルスー(一文無し)。ちょっとやそっとのことではへこたれません。私はすぐへこたれますが、能天気なシェフ金子、メンタル強いスーシェフ香田、ビクともしません。コロナ禍のどさくさに紛れて(?)、思い切って全く営業のスタイルを変えてしまおうと考えました。気持ちがとても楽になりました。


昼の営業と夜の営業という、フランス料理店ではほぼ当たり前の営業の形をやめて、15時オープンという、ちょっとヘンテコな営業スタイルに変更。コロナ禍ではご法度とされる「密」を避ける作戦です。



ヒントを得たのは「お蕎麦屋さん」。実を言うと我々、お蕎麦屋さんで呑むのが大好きで、お蕎麦屋さんめぐりを勝手に「ライフワーク」と呼ばせていただいております。


お蕎麦屋さんにもいろいろなタイプがあるけれど、我々がいちばん好きなのは、昼と夜の営業の間の中休みがない「通し営業」(老舗に多いように思われます)で、つまみが充実しているタイプのお蕎麦屋さんです。


俗にいう「時分どき」を外して、いちばん空いている15時頃に行き、あれこれつまみを食べながらさまざまなお酒を呑んで「蕎麦前」を楽しみ、最後に蕎麦で〆る。大好きな池波正太郎の世界です。この贅沢でゆったりとした時間の流れ、たまりません。


そんな優雅な時間の捻出はなかなかできませんが、これをやりたくて日々の労働に励むわけです。お蕎麦だけでさっと済ませても良し、ゆっくり呑んでつまんで蕎麦で〆ても良し。お蕎麦屋さんの懐の深さにも、ただただ「すごいな」と唸るばかりです。


果たして、15時にオープンしてお客様が来てくださるのか? 意気揚々と決めたものの、不安だらけです。でも「ダメだったらまた変えればいいじゃん」と、全く悩まないサンルスーの代表取締役。コロナ禍にあっては、こんな図太い神経が必要なのかもしれません。


というわけで、お客様が来てくださる確信も全くないまま、15時オープンに踏み切ることになりました。(次回に続く)


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