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ライバルはトム・クルーズ

コロナ禍を経験したことによって、人々の生活スタイルが変わったのは本当によく聞く話です。我々のような飲食店は、もしかしたら最も影響を受けた職種の一つかもしれません。


2020年4月、コロナによって生活が一変したとき、とにかく1分たりともじっとしていられないスーシェフ香田が始めたのが「走ること」でした。「ねえ、ジョギングなんてちょっと考えられなくない?」と言う私に「俺の辞書にはまずないね」とシェフ金子。


このスーシェフ香田、最初の頃は3km走るのがやっとだったのが、今は10km以上走るのが休日の日課となり、もう走らずにはいられないのだそう。ますます我々には理解しがたく、「ジョギングの何がそんなにいいわけ?」と聞くと、「ランニングです!」ときっぱりと訂正された上に「これは、己との戦いなんです! 肝心なのは距離よりもスピードです!」そう言われたときには、そのあまりにも立派なお言葉に「ハハーッ」とひれ伏すしかありませんでした。


前々からウォーキングを勧めてくれていたスーシェフ香田に、シェフ金子はいつも「時間がない」だの「夜型だから」だの「還暦過ぎた」だのと言い訳もならない言い訳をしていました。



ところが、いったい何が起きたというのでしょう? 超がつく夜型人間がどういうわけか突如朝型に切り替わり、朝のウォーキングを始めました! 毎朝、自宅から1kmほどのところにある善福寺公園まで行って、本人曰く、4〜5kmは歩いているとのこと。


それを自慢げにグループLINEで報告するシェフ金子に、「三日坊主に一票!」と女系一族である私の親族がそれぞれ一票を投じ、たちまち満票に。その時点で完全にスイッチが入ったようで、ほとんどムキになって毎朝出かけていきます。


体づくりの師匠・スーシェフ香田も私も、なぜ急に始めたのか、不思議でなりませんでした。その理由を尋ねてみると、とにかく手持ちの服がことごとく着られなくなったとのこと。言われてみれば、昨年末から今年の初めにかけての冬、休日に出かけるとき毎回同じセーターばかり着ているので、「他の服も着た方がいいんじゃない?」と言うと、「実は、これしかはまらねえんだよ」と言っていたのを思い出しました。


複数のお客様から勧められて、今話題の映画『トップガン マーヴェリック』を偶然にもウォーキングを始めたその日に観て「トム・クルーズ、還暦にしてあの肉体! メチャクチャ刺激を受けた! 打倒! マーヴェリック!」なのだそうです。勝手に標的にされたトムもいい迷惑です。


というわけで、今のところ20日以上、1日も欠かさずウォーキングを続けております。まだ1ヶ月にもなっていないくせに「肝心なのは『続けること』だよ。継続は力なり!」……そんな立派なお言葉、1年以上続いてから言ってほしいものです。

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