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我が青春のマイケル
6月のある日、話題の映画『マイケル』を観てきました。 閉鎖的な田舎で生まれ育った私にとって、進学のためにやって来た東京は、あまりにも自由で、解放的で、刺激的な場所でした。同じく進学のために上京した高校時代の親友たちと、土曜日の夜は毎週のように渋谷の「ディスコ」に行ったものです(ディスコ……今となっては死語のような言葉ですが、とても懐かしいです)。 目的は、ナンパ(これも死語か?)とかダンスとか、そんな色気のあるものではなく、女性は1500円で、食べ飲み放題でゴハンが食べられることでした。本当に若かりし頃から花より団子、まっしぐらです。初めて知るカクテル、ワインクーラーやカルーアミルク、ソルティドッグなどを飲みながら、すっかり大人の仲間入りをした気分になったものでした。 そのディスコで、マイケル・ジャクソンの「Beat It」や「Billie Jean」がかかると、店内には尋常ではない歓声が沸き起こり、それはそれは盛り上がったものでした。あの異常なほどの活気は、今でも鮮明に覚えています。流行に疎い私は、このディスコでマイケル・ジャクソンの存在を知っ
4 日前


32年目も、通ってくださる店に
「キツいのは皆同じだよ」 いつも「どうしよう?」と困り果てている私に、他人事みたいな呑気な言葉が、シェフ金子から返ってきます。 今や日本中、いえ、世界中のすべての人に関わっていることですが、ありとあらゆるものの値上がりがあまりにも凄まじい。本当にこれまで経験したことのない事態に陥っています。もしかしたらコロナ禍より精神的にキツいような気がしています。 店を30年以上やってきて、「売り上げがこれくらいだから、支払いはだいたいこれくらい」という感覚が身についていましたが、請求書を見て「何これ!何か間違ってるんじゃないの?」と驚愕する日々です。 さらに最近の中東情勢の問題から、ますます値上がりに拍車がかかる上に、今まで当たり前に使ってきたものが、当たり前のことのように手に入らなくなったり、何週間も入荷待ちになったり、ということが日常化してきました。 「こんなご時世に、お客様に申し訳ないなぁ」という思いから、なかなか踏み切れずにいましたが、もう、にっちもさっちもいかず、サン ル スーはこの5月に、価格を改定させていただきました。でも、それを遥かに上回る値
6月14日


貴重な伝統デザート、クレープ・シュゼット
クレープ・シュゼット。あまりにも有名なデザートです。 遥か昔、我々がまだ20代の頃、銀座のデザート専門店で、客席で仕上げてくれるクレープ・シュゼットをうっとりと眺めながら「東京ってなんてかっこいいんだろう!」と感動したことを覚えています。 でも、その時は店内でクレープ・シュゼットを注文したのは我々だけだったので、他のお客様の注目を浴びることとなり、恥ずかしくてたまらず、はっきり言って味など全く分かりませんでした。 今から4年ほど前、スーシェフ香田が「ぜひデザートメニューに加えたい」と言い出しました。しかしですよ、その場で火を使って作るデザートは、注文が立て込んでいる時の小さな厨房で、ましてや一人何役もこなさなければならないサン ル スーにとっては、かなりハードルが高いと思われました。 「火もの(火を使う調理)」だけど大丈夫?」と心配でしたが、「全然大丈夫です!」と自信満々のスーシェフ香田。「ま、とりあえずやってみて、大変だったらやめればいいじゃん」と、こんな無責任なことを言うのはシェフ金子しかいません。悩みがなさそうで本当に羨ましいです。 という
5月14日


体力と気合いと「病」自慢
こういうのを鬼の霍乱というのでしょうか? 私、図らずも帯状疱疹に罹ってしまいました。痩せたいだの、体調不良だの、身体の話が続き、大変恐縮です。 「あれ? もしかして…」と思ってはいたものの、「みかん山(私の故郷は見渡す限りみかん畑です)で鍛えた強靭な体力! 私に限ってそんなことがあるはずがない! 気合いで乗り切ってみせる!」と根拠のない自信に満ち溢れておりました。 ちょっと疑いを持った頃に、いつもお世話になっているカイロプラクティックの先生に「これはおそらく帯状疱疹。すぐに病院に行ってください」と言われ、仕方なく皮膚科で診ていただいたら、ドンピシャでした。 医療関係のさまざまな方々が異口同音に「とにかく無理をせず、体を休めてゆっくりするように」とアドバイスをしてくださるものの、仕事に穴をあけるわけにはいきません。代わりのいない小さな自営業者の宿命です。やらなくちゃならないことを封印して休んだりしていたら、後の自分にはね返ってくるのは目に見えているので。現実は理想通りにはなかなかいかないものです。 子供の頃からやたらと丈夫なものだから、逆に軽率に
4月11日


俺たちはちゃんと食べてるから
身をもって痛感していますが、デブって悲しい生き物です。自慢じゃないけど、本当にはまる服がなく、不経済で仕方がありません。 それなら新調しようと、意を決して洋服を買いに行く。試着をするとお店の方がやんわりと「もう1サイズ上の方がお似合いかと」と勧めてくださる。なのに、「いいえ!これから痩せるので、これで大丈夫です!」とサイズの合わない服を買っては、クローゼットの肥やしに。痩せてから着る服ばかりが増えていきます。 シェフ金子に至っては、私以上にはまる服がなく、年明けの休日にやっと時間を作って、乗り気でないところを新宿伊勢丹に引っ張り出しました。 しかしながら、ダメ出しばかりで一向に買う気を起こす気配がありません。挙げ句の果てに「この体型じゃ、とても買う気になれない。痩せてから俺は買うよ」と聞き慣れたセリフを吐くのです。 そして、とどめもいつも同じ。「腹減った。そろそろお昼でも食べに行こう!」 さっさと食堂階へ向かい、私に何の相談もなく、お気に入りのとんかつ屋さんに入店。そしていつもお決まりのペアセット(実はこれ、私も好きなメニュー。選べるドリンクの中
3月15日


更新中の記録の話
2026年が始まって、忙殺されていた昨年末の後始末をしていたら、あれ?もう2月が終わる! 時の経つのは何て早いんだろう? 「1年が過ぎるのが早すぎる」という話をあるお客様としていたら、70歳代のその紳士は「70歳過ぎたらもっと早くなるよ」とおっしゃっていました。 子供の頃はあんなに長かった1年なのに、今となってはあっという間です。 年が変わるごとに何かひとつ成長していこうと決めているのに、そんな気配はこれっぽっちもなく、いたずらに月日だけが流れていきます。 しかしながら、毎年確実に成長しているものがひとつだけありました。 それは……紛れもなく「体重」です。誠に残念です。シェフ金子も私も只今、順調に人生でMAXを更新中です。 年の初めに毎年その年の目標を立てるのがならわしですが、今年の私はもう文句なく「痩せる」って決めています。ついでにシェフ金子の目標を聞いてみたら、思った通り「痩せる」でした。 よく考えてみれば、我々の年始に立てる目標は30年間ずうっと「痩せる」でした。これもまた、本当に残念です。 30年前、前の店の前で。この頃からずうっと目標は
2月27日


師走の深夜の訪問に
只今、一年で一番の正念場を迎えております。年末は誰でもそうなのかもしれませんが、時間が足りなさすぎ、いろんなことが集中しすぎの最難関。最大の山場は「おせち作り」です。 普段の仕事とは別物なので、とても緊張するし、仕事量も尋常ではなく、シェフ金子が「金子愚痴光」に改名するのもこの時期で、聞こえないふりをするのも大変です。ピリピリしているので怖いから近寄らないようにしています。 シェフ金子に揚げせんべい、スーシェフ香田にカントリーマアム、、新人君の安昼(アンビルと読みます)にブラックサンダー。それぞれの好物を完備し、奮起させております。皆、休日返上で頑張っております。 もう十年も前、師走の慌ただしいある日のことでした。日付の変わった深夜、営業後の片付けをしているサン ル スーへ、不意にお馴染みのお客様、Mさんがいらっしゃいました。 「いつもサン ル スーのおせちを楽しみにいただいているけど、娘のSが急病になってしまって、とても難しい病なので、今年はおせちを買えなくてすみません」とおっしゃって、帰っていかれました。 いつもは穏やかなMさんの表情から、事
2025年12月25日


自由時間より大切なもの
年齢的なものなのでしょうが、自分の周辺の人々のリタイア、もしくはセミリタイアがぼちぼちと増えています。皆さん、自分の時間を獲得して、なんだかとても楽しそう。そんな様子を見て、私はひたすら羨ましくて仕方がありません。 学生時代からの親友は、「定年退職を機に、一度すべてをリセットして、1年くらい自分と向き合って、今までできなかったこと、やってみたいことをやりたい。そして満足したら次のステップを考えたい」と言っていました。それを聞いて「ああ、なんて理想的な考え方なんだろう。私も早く自由な身になって今までできなかったことを存分に楽しみたい!」と渇望してしまいます。 私のやりたいことといったら、 「今日は予定がないなあ。何をしようかな!」と思いたい 一度でいいから、健康のために大切と言われる7時間睡眠をしてみたい 急に思い立って映画を観に行きたい 味噌や梅干しを手作りしたい など、本当にささやかなもの、可愛いものです。そんな当たり前といえば当たり前の時間が私には捻出できず、情けない限り。何より怖いのは「私、このまま仕事だけして死んでいくのかなあ?」というこ
2025年12月4日


カルピスバターとサンルスー
食の雑誌『dancyu』から、カルピスバターの取材撮影のお話をいただきました。 そう言えば、私のバター人生は、ずうっとカルピスと共にあったような気がします。完全に履き違えていることは百も承知の上で、まるで私のためにあるような取材です(でも、取材を受けたのはシェフ金子です)。 家賃3万円の風呂なしアパートに住んでいた貧乏学生の頃から、背のびして「バターはカルピス一択」でした。それは何故なのか? 理由は簡単、抜群に美味しいからです。当時はバブルの少し前で、浮かれた雰囲気もあったのかもしれません。 高級なものに酔いしれて、世の中がブイブイ言ってる感じでした。バターに関する贅沢は、学生の身分の私でも、何とか手の届く贅沢でした。バブルなんて全く関係ない分際で、背のびした高級感あふれる味わいに、何とも言えず幸せな気持ちになったものでした。 カルピスと言えば、子供の頃、夏に飲むとっておきの飲み物でした。お中元でカルピスが届くと、送ってくださった人のことを「この人はすごくいい人だ」と絶対的に信頼したものです。 そうそう、今でもファミレスに行った時、ドリンクバーで
2025年10月22日


リトリートとワーケーション
新潟旅2日目は「生きているうちに一度は行ってみたい」と憧れていた宿に泊まりました。最近流行りのモダン旅館とは違う、昭和を感じさせる正統派です。 しかしながら、「リトリート」という洒落た言葉に酔いしれていた我々が、満を持して伺った宿で、まさか温泉の硫黄の匂いに酔うことになると...
2025年9月25日


2025年秋、新潟の旅
9月の初め、夏休みを利用して、かつて通過しかしたことのない新潟へ行って来ました。 シェフ金子の我儘な「軽井沢もからめてゆっくりしたい」という希望を叶えながら、私の47都道府県訪問制覇の壮大な夢を果たすべく、新潟の地を選びました。 実は正直なところ、 前回のブログ...
2025年9月21日


今年はどこへ行こう?
7月から8月にかけてご来店のお客様の食事中の会話に、ある傾向が面白いように出てきます。あちこちのテーブルで、夏休みの旅行の計画を詰めていらっしゃる。夏のお決まりの光景です。 実際、旅って計画している時がいちばん楽しいのかもしれません。お客様に「この夏はどこかへ行くのですか?...
2025年8月16日


本当のおもてなし
フランス・ロワール地方の、それはそれはすごい田舎のホテルレストランで働いていた時、プロンジュ(洗い場担当)として働いていた、リディという女性がいました。 彼女は女性としては珍しく、鼻の下に黒い毛(ひげ?)がしっかりと生えていていたので、イタズラ好きで辛口のフランス人たちは陰...
2025年7月14日


30周年フォトギャラリーのこと
5月のある日、サン ル スーのウェブサイトを制作・管理・運営してくださっている智恵美のお世話係のTさんが「記念すべき30周年を迎えるにあたり、何かホームページでも楽しいことをやりましょう!」と、いろいろ楽しい提案をしてくださいました。...
2025年6月26日


30年を振り返って
6月18日、サン ル スーは満30歳となり、31年目に入ることになりました。 つい最近、あるおなじみのお客様が「30年店を続けるって並大抵じゃない。すごいことですよ」としみじみおっしゃってくださいました。こういう温かいねぎらいの言葉が、私の心の支えになっています。...
2025年6月12日


フランス厨房のマカナイ
我々がフランスへ修業の旅に出掛けたのは、思い起こせばもう30年以上も前のこと。自分の中ではちょっと前ぐらいの感覚ですが、冷静に計算してみると、あまりに昔すぎて我ながらびっくりです。 シェフ金子は19歳からずっとフランス料理をやってきたので、少しでもいいから本場フランスで修業...
2025年5月21日


便利すぎてなんだか?
全く、いつからこんなことになってしまったんだろう? コロナ禍の真っ只中、我々飲食店がお上の方針に右往左往していた頃から早5年が経ち、ハッと気づいたら映画の見方も電車の指定席の取り方もホテルの予約も、つまり世の中の様々なシステムがガラリと変わっていました。...
2025年4月16日


ポトフはいかが?
もう十数年も前、たまたま気まぐれにポトフをメニューに載せたら、風邪気味だったお客様が、「サン ル スーのポトフを食べて風邪が吹き飛んだ」とおっしゃったとのこと。 それを聞いた別のお客様が「おたくのポトフは風邪が治るんだって?」と、ポトフを食べにいらっしゃいました。その時、「...
2025年3月16日


冬のキャンプ部
2025年が始まり、1月なんてとっくに過ぎ、はや2月になってしまいました。節分だって終わっちゃいました。 昨年末の自らを振り返ると、完全にキャパオーバーの仕事量ゆえか、怖くなるくらい記憶がなく、そんな自分がよけい怖くなってきます。...
2025年2月11日


還暦祝いブーム
私、絶対に自らの人生に関わって欲しくないと思っている言葉があります。 それは「還暦」です。全く納得できないけれど、私、今年、還暦を迎えてしまいました。「老人」というレッテルを貼られた気分です。 今年に入ってからやたらと「ライフプランナー」と称する人から電話がかかってきたり、...
2024年11月17日
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