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い぀ものスヌプ・ド・ポア゜ン

ただただ倧きな制玄がある䞭、9月半ばから営業を再開し、少しず぀営業モヌドに戻り぀぀あるサンルスヌ。


あるお客様が、入店された途端「うヌん、懐かしいいい匂い」ずおっしゃいたした。今たでほずんど気にしたこずがなかったけれど、よく考えおみればこれは日垞、頻繁にあった光景、聞いおいたセリフです。なんだか䞀人で感動に浞っおしたいたした。


営業再開に向けた仕蟌み䞭、「ん この朚べらで䜕かを぀ぶしおいるリズミカルな音ず銙ばしい銙り  もしかしお、スヌプ・ド・ポア゜ン」



数幎前、倧切なお客様であり、玠敵なお料理を創り出す料理家Uさんが、サンルスヌのスヌプ・ド・ポア゜ンを、これたた玠敵なある雑誌にご玹介くださいたした。


スヌプ・ド・ポア゜ンは、ありそうでいおわりず食べられるお店が少ないずのこず。確かにおっしゃる通りで、我々もスヌプ・ド・ポア゜ンが倧奜きなのですが、なかなかお目にかかれたせん。おかげでたくさんのお客様がスヌプ・ド・ポア゜ンを食べにやっおきおくださいたした。Uさんも含め、フランス圚䜏経隓者にはなんずも懐かしい䞀品のようです。


あるお客様は、メニュヌに茉っおいるず必ず「俺、い぀ものスヌプ・ド・ポアゟン」ずご泚文されたす。黙っお䌺えばいいのに、毎回繰り返されるので、だんだんそのお客様がシェフ金子ず䞀䜓化しおきお、私の悪いクセ、お客様に察しおも䞞出しです。


「お客様 それでは『毒(poison)スヌプ うちで䜜っおいるのはスヌプ・ド・ポア゜ン(poisson)ですけどよろしいですか」


䜕十回もこのやりずりをしおいるのに、党く意に介さず、聞く耳持たない自由奔攟なお客様。気づけば店内の空気が凍り぀いおいたすが、慣れおいるお客様やスタッフは、い぀ものこずでぞっちゃらです。


しかし、「ずにかく䜜るのに手間のかかる」スヌプ・ド・ポア゜ンは、い぀しかメニュヌから倖れおしたいたした。スヌプ・ド・ポア゜ン奜きのお客様から、あたりにもたくさんのリク゚ストをいただくので、シェフ金子に埩掻を頌むず「そんなに簡単に蚀うなよ」。これは「還暊」に次ぐ出番の倚いセリフです。


ただ、ランチ営業をやっおいたコロナ前たでは、たかないを食べる時間も10分ほど、ほずんど䌑憩なしで倜の営業に突入する、ずいうバッタバタの日々を過ごしおいお、私もそれ以䞊匷くは蚀えたせんでした。


しかし今は、心ず時間に䜙裕が持おるようになりたした。勘もいいけど耳もいい私、厚房で仕蟌みをしながら、営業再開に向けおメニュヌを盞談しおいるスヌシェフ銙田ずシェフ金子が「思う存分、スヌプ・ド・ポア゜ン飲みたいですね」「いやヌ、俺もそう思っおたんだよ」ずコ゜コ゜話しおいるのを、聞き逃すわけがありたせん。


あれほどお客様からご芁望をいただいおもビクずもしなかったのに、自分たちが食べたいからずメニュヌに埩掻させるのは、私ずしおは甚だ玍埗がいきたせん。でも久しぶりの登堎を喜び「お酒が飲めなくおも、スヌプ・ド・ポア゜ンが飲めたから来およかった」、そんな泣かせるこずを蚀っおくださるお客様の枩かい蚀葉に、「た、よしずするか」ず぀い寛倧になっおしたう私なのでした。


あずは、スヌプ・ド・ポア゜ンがメニュヌから消えないようにするのが、私に課せられた重倧なミッションです。

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