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幸せのプティポ物語

シェフ金子、還暦をすでに数年過ぎ、いい歳をしたオジサンですが、「パフェ」がお好きな模様。パフェを置いている食べ物屋さんに行くと、もれなくご注文。そのときの幸せそうな顔ときたら、私にはあきれることしかできません。


シェフ金子の父は生前、飲食店を営んでいて、ちょっとした宴会などがあると、メロンをくりぬいた皮を器にして、中にメロンの果肉やら何か(昔すぎて何が入っていたのか覚えていないらしい)を詰めたデザートを作ったりしていたようで、子供心にワクワクしながら、そのお裾分けをもらっていたとのこと。昭和30〜40年代という時代背景を考えると、夢のようなデザートだったようです。


シェフ金子自らの料理人としての出発は、ビルが丸ごと飲食店のレストラン。階によってフランス料理、ステーキハウス、洋食、喫茶などと分かれていて、新人は皆、洋食、喫茶からスタートしたとのことで、そこで楽しくパフェを作っていたのだそう。


もう20年近く前のあるとき、シェフ金子がお得意の思いつきで作った「いちごづくしのプティポ」(Petit Pot=フランス語で「小さな器」の意)をメニューに載せたら、たちまち人気のデザートになりました。



いちごの季節が終わって、プティポがメニューから姿を消すと、お客様が「次のプティポは何ですか?」と口々におっしゃいます。ちょうど桃の季節がやってきて「桃づくしのプティポ」を編み出しました。そしてこれもまた人気者に。


しかしさらに激しい「次のプティポは?」コールが鳴り止まず、やっとの思いで生み出したのが「栗のプティポ」です。おそらくこれは、サンルスーのデザートメニューの中で一番人気と思われます。秋になると、これを目当てにいらっしゃるお客様がたくさんいらして、予約時に「栗のプティポキープ」のご指定も多々ある最強デザートです。


これまで、お客様の「次のプティポ」の声にお応えして、苦しまぎれにさまざまなプティポを作ってきましたが、最終的に「いちご・桃・栗」の3つのプティポに落ち着きました。さすがパフェ好きの作というべきか、スイーツよりもお酒を愛する私から見ても、このプティポは「なかなかやるな」と納得できるものに仕上がっていると思います。


小学生の頃からご来店くださっているあるお客様は、元祖の「いちごづくしのプティポ」の大ファンで、子供の頃から「彼女ができたら一緒にプティポを食べに来る!」と宣言されていました。


素晴らしい有言実行力で、大人になって見事に彼女ができ、2人の記念日にすでに2回、ご来店くださったのですが、その記念日はちょうどいちごの季節外。まだどうしても彼女に食べさせてあげることができません。いちごの季節は動かせないので、いつか何とかして別の記念日を作ってもらって、彼女に彼の大好きな「いちごづくしのプティポ」を食べさせてあげたいものです。




「いちごづくしのプティポ」と名前はちょっと気取ってみましたが、言い換えれば、パフェ好きのオジサンの作る「大人のためのいちごパフェ」。このたび久しぶりにメニューに復活しました。プティポ好きのお客様の喜ぶ顔を見ていると、私もやはり、何とも言えないほのぼのとした気持ちになるのです。

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