自由時間より大切なもの
- vivstudio
- 12月4日
- 読了時間: 3分
年齢的なものなのでしょうが、自分の周辺の人々のリタイア、もしくはセミリタイアがぼちぼちと増えています。皆さん、自分の時間を獲得して、なんだかとても楽しそう。そんな様子を見て、私はひたすら羨ましくて仕方がありません。

学生時代からの親友は、「定年退職を機に、一度すべてをリセットして、1年くらい自分と向き合って、今までできなかったこと、やってみたいことをやりたい。そして満足したら次のステップを考えたい」と言っていました。それを聞いて「ああ、なんて理想的な考え方なんだろう。私も早く自由な身になって今までできなかったことを存分に楽しみたい!」と渇望してしまいます。
私のやりたいことといったら、
「今日は予定がないなあ。何をしようかな!」と思いたい
一度でいいから、健康のために大切と言われる7時間睡眠をしてみたい
急に思い立って映画を観に行きたい
味噌や梅干しを手作りしたい
など、本当にささやかなもの、可愛いものです。そんな当たり前といえば当たり前の時間が私には捻出できず、情けない限り。何より怖いのは「私、このまま仕事だけして死んでいくのかなあ?」ということ。
シェフ金子は「人間、仕事をしなくちゃダメになる。仕事ができるって有難いよ」とか、金子愚痴光の分際で立派なことを言っているわけですが、それは自動的に私がとばっちりを受けることを意味していて、「ちょっとお待ち! いつまで私を巻き添えにするつもり?」と私としては不満いっぱいです。
そういえば、お客様であり友人でもある、ある男性は「僕はずっと好きなことを仕事にしてきたから、できる限り続けていきたい」とおっしゃっていました。そんなふうに言えるって、なんて素敵なんだろう?
「セミリタイア」——私にとってなんとも魅力的な言葉です。「リタイア」というと、ちょっと寂しさもつきまとう印象がありますが、働くペースを落として自分の時間を楽しみながら仕事もする。そんな生活ができたらいいなあと憧れます。でも、現実はなかなか厳しいもの。
そんな「自分の時間が欲しくてたまらない病」にかかっている私ですが、ハッと気づくとサン ル スーを始めて30年も経ってしまいました。文句を言いながらも店を続けていられる理由はただひとつ。
「シェフ金子の料理が好きだから」とか「シェフ金子を支えたいから」とか言えば、本当に優等生の相棒として、私の株もグンと上がるのでしょうが、申し訳ないけど、さにあらず。
あまりに模範的すぎて歯が浮くようですが、それはたくさんのお客様と知り合えたおかげです。
お客様商売なので、嫌な思いをしたり辛い気持ちになったりすることも当然ありますが、それをはるかに上回る「あぁ、お店をやっていてよかった!」と思える素敵な経験をさせてもらいました。だから、自由になりたいけれど、やっぱり店をやめられないのです。
仕事の遅い私のことなので(私のこと、亀って呼んでください!)、いったいいつになるかわからないけれど、これから時々、「智恵美が経験したちょっといい話」を書くので、どうぞお付き合いください。
ではワタクシ、一年で二番目に厄介な棚卸し業務でお尻に火がついておりますので、これでいったん失礼いたします!






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