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開店26周年の日に

6月18日でサンルスーは26周年を迎え、27年目に突入します。26年というとその長さにただただ驚きますが、自分たちの中ではあっという間の年月でした。


でもサンルスーに初めてご来店いただいた時は小学生だった可愛いお客様が、今は立派な社会人になって恋人を連れてきてくれたり、素敵な親になっていたりという光景を見せてもらうと「結構経ったな」と実感します。と同時に「よくもったな」と他人事のように思います。



こんな店をたった1軒やることだけでも、我々にとってはそれはそれは大変なことで、いつも「どっちが大変か」「どっちが疲れているか」と比べようもないことを競い合って26年、未だにどちらに軍配が上がるのか、結果は出ずにおります。


ただ、今までなんとかやってこられたのには、3つのワケがあると私なりに考えています。


1つ目は、お客様に恵まれたこと。おおらかでマナーが良く、見識の高いお客様です。店をやっている人は皆そう思うことなのかもしれませんが、我々は「サンルスーのお客様がいちばん!」と思っています。


2つ目は、サンルスーの長時間の労働に文句ひとつ言わずがんばって働いてくれる、スーシェフ香田をはじめとする歴代スタッフの存在です。


サンルスーの卒業生たちはそれぞれに、お店を持ったり、家業の飲食店を継いだり、フランスで働いたりと皆がんばってくれています。彼らは卒業しても、やっぱりサンルスーのスタッフだと我々は勝手に思っています。


現役のスーシェフ香田、コロナ禍で本来の仕事がままならない中、決して腐ることなく、ちゃんと熱中できるものを見つけ出し、マカロン作りや屋上ガーデンの手入れに夢中になっております。


これでは、女優や歌手の方々が大きな賞をもらった時の決まり文句「ファンの皆様とスタッフのおかげです」にそっくりですが、私も全く同じ気持ちなので仕方がありません。


3つ目は、サンルスーの代表取締役であるシェフ金子のブレない姿勢です。日頃、口数は少ないながら1つだけ口癖があります。「俺は自分が食べておいしいと思うものを作る。ただそれだけ」。だから、人様に何と言われようが全く動じません。流行りを意識したり、ウケを狙ったりも一切しません。


この姿勢は60余年を生きてきた人生そのものです。シェフ金子の人生の選択は「自分がしたいか」「それが好きか」がすべてで、「こうした方が得」という損得で物事を選びません。


だから私は、シェフ金子が損しているところをたくさん見てきたし、「この人、かなり不器用だな」と何度も思いました。ただ、根っからのポジティブ思考の能天気な性格なので、自分が損したことには全く気づいていません。万事ネガティブな私は「悩みなさそうでうらやましいな」といつも思っています。


こんな天と地がひっくり返るようなコロナ禍の中でも、善良なお客様、前向きなスタッフ、おめでたい代表取締役のおかげで、ひっそりと心穏やかに27年目に突入できること、ありがたいと思うのです。

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